展覧会概要
HRDファインアートでは、4月12日から5月31日までの会期で写真作家・南條敏之の個展「Hakusha-Seisho - White Sands, Green Pines」を開催します。HRDファインアートでの南條敏之の個展は2020年以来5年ぶり4回目の開催となり、また本展は「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」のサテライトイベント
「KG+ 2025」の参加展覧会でもあります。
南條敏之は1972年東京生まれ。自然や風景を中心的なテーマとし、高度な写真技術をベースに、精緻で静謐でありながら詩的な余韻も感じさせる格調高い画面の写真作品で知られています。本展では、南條が近年継続して取り組んでいる《shelterbelt》と《ヘドラを探しに》の2つのシリーズの作品を展観します。
《shelterbelt》は、日本各地の海岸に点在する防砂林を撮影したシリーズです。海岸防砂林は近世以降、農地や住宅地を砂の害から守るために、松を中心に植林・造成されてきた人工林ですが、現代においてはその経済・社会的な機能性は薄れ、「美観」「環境」の名のもとに防砂林そのものが保護の対象となるという逆転現象も発生しています。風を受けて歪んだその樹形には、自然をコントロールしようとする人間の欲望の形が映し出されているようにも見えます。
《ヘドラを探しに》は、南條が長年取り組んでいる、水面の太陽光を捉えた《suns》の派生形となるシリーズです。淀み濁った川の汚泥の形を、映画に登場する「公害怪獣」になぞらえながら、人間社会と自然環境の矛盾した関係性に静かな眼差しを向けます。
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本展はグループ展
「True Colors」との同時開催となります。
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アーティストからのメッセージ
《shelterbelt》──10年以上日本各地の海岸防砂林を撮影し続けています。白砂青松とよばれる防砂林の風景は、日本人と自然との調和や共生の象徴とされています。整然と並ぶ松林には魅せられつつも、細部には漣が見えるように思います。その漣を漂うように辿り、日本人の自然との関係性を見つめ直す試みです。
《ヘドラを探しに》──2018年の森永純の訃報を聞き試みた自分なりのオマージュです。公害や環境問題を外部化・怪獣化し、そして忘れることについての写真的雑念です。
(南條敏之)