展覧会概要
HRDファインアートでは、4月12日から5月31日までの会期で、「True Colors」と題し抽象絵画における色彩表現に着目した展覧会を開催します。3名の日本人アーティスト(寺島みどり、辻元美穂、岡優七)と1名のシンガポール人アーティスト(クロエ・チャイ)、4名の女性アーティストによるグループ展となります。
「カラリスト」「色彩の画家」といった言葉があるように、絵画において、特に感情表現や空間表現との関わりで色彩は重要な要素のひとつとなっています。19世紀の印象派絵画における明るく鮮やかな色彩を用いた光の表現や、色彩・色面そのものを絵画作品の主役に位置付けるような20世紀半ばの「カラーフィールド・ペインティング」、色彩の対比や組み合わせによって幻惑的な視覚効果を生み出す「オプ・アート」などの動きを経て、現代の抽象絵画の中でも色は多彩な役割を果たし続けています。
本展では、豊かな色彩を用いた絵画作品を制作する国内外4名の作家を取り上げ、色が持つ意味性や象徴性、風土色、色彩理論、感情表現などにまつわる幅広い思考へと鑑賞者を誘います。
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本展は写真作家・南條敏之の個展
「Hakusha-Seisho - White Sands, Green Pines」との同時開催となります。
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アーティストからのメッセージ
私のアートを巡る旅の中では、1枚1枚のキャンバスが私の日記の1ページであり、私の内面世界の反映である。重要なのは見た目の美しさだけではない。ひとつひとつの作品が伝える物語、喚起する感情にこそ意味がある。私のアートは私の声であり、生命に触れるための、そして視点を共有するための媒体なのだ。
(クロエ・チャイ)
私はこれまでずっと、色を通じて自分の思いを表現してきました。色はとても個人的なもので、人それぞれの人生の記憶によって異なります。今回の作品では、色を表現するために大事な「塗る」という動作を意識しました。
(寺島みどり)
私にとって描くことは、「この色が、この線がここにあったら気持ちいいかも」という生理的な喜びに従っていくことの連続です。最近使用している不定形のキャンバスパネルも、布や紙に描いたドローイングを元に制作しています。
色を塗る、線を引くという行為の積み重ねによって浮かび上がってくるフォルムや画面上の空間に身を任せるようにして描いています。
(辻元美穂)
私の制作は、「かくこと」そのものがテーマである。目前の画面に対し、前も後もなく「今」の描画を繰り返しその集積を作品とする。この集積を見た人に、私の積み上げた色や形、言葉、意味のうち、どこが掬われるか分からない。しかし受け手にかかわらず、またそこに誰もいなくても、私は「かく」ことにより考え、主張し続けたい。
(岡優七)